ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)


持続可能な少数民族未就学児童のモスン教育
ひろしま祈りの石国際教育交流財団助成

2005年3月報告

収穫したトウモロコシを量り売りするモスン教室の
子どもたち。鶏、アヒル、各種野菜の販売はマーケ
ティングの体験学習を兼ねています。
   2年間のモスン教育事業は、この3月に終了しました。画一的教育のなかで中退者が増えていく問題に対して、英語と民族の言語併記のテキスト作りや実践を重視したフリースクールに、解決の糸口をみつけようというプロジェクトでした。試行錯誤の中で進められている本事業に、ゴールはまだ見えません。2月の報告にも、働いて現金を得るため黙って町に出てしまった児童の話がありました。今手に入るべビーシッター給料の月額750ペソ(1500円)より、将来のサバイバルに備えて一緒に学ぼう、という教師(Wogu 姉という意味)の説得に応じて戻ってきたそうです。
 今年度は、父母、子どもたちの自主参加を裏で支える6名の教師(Wogu)の給与補填を中心に、(財)新潟県国際交流協会(NIA)の助成金により継続実施します。

出来上がったチボリ語の教科書 
 

教科書拡大写真



2004年12月出張報告

 2年間のモスン教育事業は、チボリ語併記のテキスト作り、学校運営自主財源用のアヒルと鶏飼育、菜園経営、年長者(姉Wogu)が年少者(妹Woli)に教えて学ぶ方式などが、ある程度の成果を上げてこの3月に終了します。このフリースクール運営継続のための自主財源については、2004年10月に学校菜園用地の土地問題が決着したばかりのバサグノフォークでは十分でないため、4月以降もサポートが必要です。 就学年齢を大幅に超えた数名の子どもたちが、飛び級試験や初等教育終了試験に向けて準備中です。
 
地主とのトラブルが解決して笑顔を見せるバーバラ先生(左)
と、4年生になるための飛び級試験を受ける少女(12歳・2年
生)


2004年7月出張報告

昨年度事業で購入した丸木舟(少女が乗って
いる一艘)。漁業と農産物輸送などに使用。
   レイクセブ町トゥバトゥ(ツバツ)とバサグ・ノフォーク
の2地域で実施中のモスン教育事業も2年目を迎えま
した。そのため、今年度からの運営を支える自主財
源を生み出すことをめざして「持続可能な」と名づけま
した。子どもたち一人に一羽配布された鶏は次々雛
を孵し、成長した若鶏の一部を学校運営用に納入し
ます。残りは自家用です。母親と子どもたち、ハイスク
ールの勤労学生によって良く手入れされた菜園に
は、キャッサバ・タロイモなどの根菜類、モンゴ豆・ナ
スなどの野菜が順調に育っていました。今は自給用
ですが、これも将来の自主財源として期待されていま
す。
 遅れていたチボリ語併記の教科書作りも、シェリルさんが新たに執筆者として加わり、体制を
整えて、テーマごとに月2−3冊ペースでの完成を目指しています。7月訪問時には子どもたち
は完成したブックレットを持って迎えてくれました。本年度のモスン教育児童は110名。教室は
それぞれの地区に小さな建物が一つあるだけですが、湖、畑、山で汗を流しながら基礎学力
速習と生きる知恵・力を身に付けます。



2004年3月出張報告
 モスン教育教科書プロジェクトも2年目に入りま
す。1年目の成果をモニターするため、教科書を製
作しているグレートワークの事務所を訪問しまし
た。
 当日は教科書執筆者のマーセラさん、エマさん、
イラストレーターのアレックスさんが集まり、先住民
の子どもに理解しやすく、コミュニティーの自立に
つながる教科書の執筆過程とその困難さについて
お話いただきました。特にマーセラさん、エマさん
はチボリ民族出身で、英語やタガログ語の概念を
子どもたちにわかりやすいチボリ語に翻訳する作
業に苦労なさっているようです。
 

イラストについて語るアレックスさん
 アレックスさんはイラストが理解の助けになるよう細心の注意を払っているとのことでした。皆
さんの努力が早く形になるよう支援を続けていきたいと思います。


トップへ
戻る