ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)


保健ボランティア育成と母子保健プロジェクト
(財)国際開発救援財団助成

2006年5月報告
ムスリムの村で続ける健康増進プロジェクト
 FIDR(国際開発救援財団)の助成を受けた2005年度の事業も、3月28日に実施された女性
対象の巡回診療をもって無事終了しました。
 ボランティア貯金寄附金配分を受けて実施したコミュニティースクール支援(2002年)、ファイ
バーリサイクルネットワーク助成による鍼灸クリニック開設事業(2003年)。このムスリム住民
を対象とする事業は、続く2004年度も当会自己資金(中田基金)でつなぐことができました。
 昨年度は@家庭訪問による住民指導 A保健ボランティア研修 B巡回診療、の3つを柱と
する盛りだくさんの内容でしたが、現地事業主体PIHS(パササンバオ総合医療サービス)の代
表ナプサさんはじめ、PIHSスタッフ、村の保健ボランティア(Community Health Worker/CHW)
の奮闘で、ほぼ予定した活動を事業期間内にこなすことができました。  
 国の医療・福祉分野の行政サービスが地方に分権されて以来10数年、赤字財政を理由に、
特に社会的な差別を受けているムスリム地域の医療サービスの質と量はきわめて貧弱です。
特に社会的弱者の子どもや妊産婦にそのしわ寄せがきているのです。
 4年間の事業により、「薬草や鍼灸などの伝統医療を見直し、村の保健ボランティアを育成し
て、地域ぐるみで健康に」という意識の定着とそのシステムがかなり浸透してきました。
 2006年度は今井記念海外協力基金の助成により、引き続きムスリムの村の健康増進のた
めに事業を実施することが決まりました。  
乳がん検診も含む診療(左)










   女性対象巡回診療の看板(右)


2006年1月報告
鍼灸による治療効果あり− 現地責任者ナプサさん1/22付メールより −
 喜んでください。これまで保健ボランテァ研修で推奨
してきた化学医薬品に頼らない伝統的治療法の成果
が、先日の巡回診療の後確認されました。研修生の
実習を兼ねて3時間で31人の患者に対応した巡回診
療の結果を、今日村を訪ねて調べてみました。患者たちは口をそろえて楽になったと言っていました。悪くなったというケースはありませんでした。PIHSスタッフも保健ボランティアもこの結果に一層やる気が出てきたようです。
 なお、2月には、妊産婦・乳児対象の巡回診療を行う予定です。

2005年に帝人ファイバーから寄付された
防虫ウェアを着用したスタッフたち


2005年10月報告
 イスラム系住民の住む、カニパアン村(スルタンクダラト州)、タンビリル村、プアゴ村、トゥヤ
ン村(サランガニ州)、ティナガカン村(ゼネラルサントス市)の5村で各村4名のヘルスワーカーを育
成するプロジェクトです。
 目的は、

1. コミュニティ内にプライマリーヘルスケア(初期治療)を行う保健ボランティアを育成し、病気
予防や治療にあたる
2. 妊産婦の健康状態改善、乳幼児の栄養改善

です。医者がいない、お金がない、衛生知識がない、ないないづくしの村ではボランティアのヘ
ルスワーカーが住民の健康の頼りです。
  例えばお爺さん、お婆さんが長い刃物や棒をもって家の裏手へ廻る。これは1回ごとに穴を
掘って排泄をしているのだそうです。パササンバオ総合医療サービス(PIHS)のスタッフは、た
くさんの村を回り、村の中にトイレを作ったり、手を洗うよう指導したり大忙し。その合い間に
は、難産の女性やテーブルから頭から落ちて泣き止まないという子どもの診察をしています。
 そのため村内に住むヘルスワーカーの技術向上が課題になってきました。すでに数回宿泊
しながら、病気について、傷・ケガの手当、衛生・栄養について、妊産婦・乳幼児の検診の仕方
などの研修を受けました。
 また、このプロジェクトはヘルスワーカーや住民が村内の問題に自分たち自身で気づき、行
政へ働きかけができる能力を持つことが期待されています。そのためヘルスワーカーはPIHS
のスタッフと共に村内の家庭訪問を行い、相談に乗り、アドバイスをするトレーニングもしてい
ます。
 7月には、妊産婦・乳幼児・6歳以下の子どものための巡回診療も行いました。プアゴ村のヘ
ルスワーカーと会い、話をうかがいましたが、もっと技術と知識を取得し住民の役に立ちたいと
のこと。住民にとっても心強い隣人が育っているようです。

血圧計、聴診器の使い方の復習。
問題はヘルスワーカーに行き渡る機器がない

胎児の心音を聞く機械の使い方を学ぶ



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