ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)


簡易水道建設と研修による先住民族の生活改善事業
今井記念海外協力基金助成


2006年5月報告
最初の水が届きました!
 水源地の貯水槽完成後は、貯水槽から村までのパイプを敷く溝掘りです。パイプはでこぼこ
した土地や農地の地下を通します。村人たちはいくつかのグループになり、地面を掘り、パイ
プを敷設し、村側の貯水槽を建設するなど、毎日順番に働きました。

 対象の三つの村のうち最初に待望の水が届いたのは、水源とラナス村の中間地点にあるラ
ハマ村でした。事業当初、人手が必要な資材運搬がコーン収穫時と重なるなど事業全体に2ヶ
月近くの遅れが生じていたため、待ちに待った水でした。蛇口も洗い場もできていなのに母親
たちは洗濯物を抱えて集まり、子どもたちは水浴びに興じました。

 水道工事の遅れで、水を活用する衛生栄養教室の開催も1月にずれ込みました。バランガイ
ヘルスワーカーのララさんのほか、スララ町の助産師も指導に当たりました。
 工事は住民の協力で完了しました。さらに衛生状況の改善、水不足に起因する疾病を減ら

水が届きました!

研修の様子(2006.2.15)
すなどの目標を達成するには、住民による水道施設のメンテナンスとともに、ララさんの月例訪問によるきめ細かな指導が欠かせません。私たちも機会を捉えて事業地域を訪問し、この成果と課題の把握に努めたいと思います。


2005年9月報告
安全な飲料水の確保にむけて
 このプロジェクトは、山の水源からラマハ村を抜け、20キロメートル離れたラナス村までパイ
プを敷設します。水源管理を担当するラマハ住民組合のみなさんとミーティング後、水源地に
案内してもらいました。

 村の中心地から水源地までは、だらだらと坂道を登って約1時間、4キロメートルほどです。水
源を汚染から守るためコンクリートで周囲を覆うのですが、男性たちはそのための資材を担い
でおり、汗だくです。ところが水源地の森に近づくと、日光は木々にさえぎられ、空気はみずみ
ずしくなりました。組合員は、この涵養林を守ることの重要さもセミナーで学んでいます。将来
は森を増やすため、もっと木を植えたいとのこと。陸稲→コーン→ピーナッツを輪作をして生計
を立てているラマハ村。まだまだ足りないものはたくさんあります。このプロジェクトを通して協
力体制を築きながら、ゆっくりと村の発展を見守りたいと思います。「私たちは労働を分け合
っています。日本のみなさんと経験を分け合いたいです」と組合議長のダニーさんからメッ
セージをいただきました。

指差しているのが水源。後ろはPFPスタッフ
 
貯水槽建設に汗を流す組合員


2005年7月報告
 「米を10kg借りて、1週間返すのを忘れていても、誰も気にしない。水1ガロン(約3.8リットル)を
朝借りて、昼過ぎまでに返さないと間違いなくケンカになる。」
 事業対象地域ラナスでは、水がいかに貴重かを示すものとして、よくこの話をするそうです。
最も近い水源まで2kmの道をポリタンクを持って往復するという生活を続けてきた住民たち
は、今年ようやくその労苦から解放されます。安全な水の不足に起因する胃腸病や皮膚病も
減ると期待されます。

 6月訪問時に参加した住民集会では、イスラム系マギンダナオ民族の住民(70%)の首長が
リーダーシップをとり、チボリ民族、キリスト教徒とともに水源地点のコンクリート保護枠、パイ
プ敷設、中間地点の終点の2基の貯水槽建設に関する作業ローテーションを話し合いました。
 中間地点の村ラハマ、支線の先にあるシオプを含む3コミュニティー、合計270世帯1,350人が
水の恩恵を受ける予定です。7月22日付PFPのメールにはすでに資材の購入が始まったとあり
ました。

住民のまとめ役、イスラム指導者グリンタ(左)と、
事業に含む衛生栄養研修でもお世話になるバラ
ンガイ・ヘルスワーカーのララさん。
 

水源から集落までを測量するPFP土木専門家オーラン他
スタッフ。パイプ延長距離は8,700mになる。山を越え谷を
渡ってのパイプ敷設は住民の共同作業バヤニハンで実施。


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