ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)
現地報告
2年ぶりの巡回診療 安達 美菜
巡回診療でもっとも多い主訴が咳、胃痛、下痢の三つだ。原因は何だろうと思っていたが、 今回実感をもって納得する事ができた。最初に診療を行ったスフォ村では下痢と皮膚病(これ
も多い)が特に多く、水を飲んで皮疹が出たという説明もあり不審に思っていた。帰途でフィタク
村の水源に案内され、見た瞬間、思わず声を上げてしまった。それは、水溜まりの様なもので、水は遠目にもはっきり白く濁っており、とても飲料水に相応しいものではなかった。
2年目終了の給食プロジェクト CMIPが運営する小学校3校(アトモロック、ラムアフス、キアミ)で行っている給食プロジェク ト。2005年の8月に開始し、丸2年が経ちました。週3回の給食は先生方の指導のもと、親の協
力がかかせません。毎回4,5名の親が調理を担当し、焚き木、調味料、野菜も用意します。ま
た先生方は家庭でも野菜を食べるように、自宅の菜園にさまざまな野菜を植えるよう指導して
います。
下記はアトモロック校の9月のメニューです。おいしそうですね!
頑張る!看護助手コース奨学生 スフォ村とゴメロ村の巡回診療には、看護助手コース奨学生のアナリサ、シェリリン、ジャネッサ、リリベスの4名がカレッジの許可を取って同行しました。というのは2年生の彼女たちはすで に病院での実習を行っているため、休むには許可が必要なのです。
えれば、まだ20歳前後の女の子。「一緒に写真撮って!」と頼まれ上記の記念撮影となりまし
たが、植物を愛する優しい心に私も感激しました。
高校卒業後の進路 上記の様に高校卒業後、奨学金を受けて進学できる学生以外の子どもはどうしているのでし ょう?私が支援して、この3月に高校を卒業したローダに偶然会うことができました。場所はマ
ーベルのパブリックマーケット。レストランに勤めており、その買出しに来ていたのです。味の方
は評判の良いレストランとのことですがオーナーは厳しく、月曜から土曜まで働いて給料は月 1000ペソ(約2200円)!しかしこの金額は先住民族だからというわけではなく、高卒の初任給と して妥当だということです。家族に仕送りするには全然足りないのですが、当分はここで頑張 る、とのことでした。 チボリ女性の伝統ハウス完成! 2007年8月26日はCOWHEDの新たな一歩が始まった日でした。伝統ハウスの竣工式が行わ れ、リゾート地に建物をという長年の夢が実現しました。 私たちが到着した時、建物の前に民族衣装を着た組合員、その子どもたち、招待客らが集 まっていました。入り口には、ティナラク織の大きな造花が真ん中についたテープが張られてお り、九島さんと私がテープカットをさせて頂き、最初に建物の中に入りました。真っ暗でしたが、 すぐに大きな窓が開けられ、セブ湖と周辺の山々が視界に入ってきました。青と緑が織りな す、美しい、心和む景色でした。この地の利を生かして建物をと願っていた理由がよくわかりま した。 組合員の民族楽器の演奏で祝典が始まり、町長、助役、観光課長、エコ・ツーリズム協会会 長、南コタバト州観光局長などの来賓が、口々にこの建物がレイクセブ町の観光の拠点の一 つになり、レイクセブ町の、南コタバト州の観光産業に大いに寄与するとの期待の祝辞を述べ ました。 最後の観光省の役人の祝辞は特に印象的でした。レイクセブ町の観光地としての強みは、 美しい湖、滝などの自然景観だけでなく、チボリ民族の存在があるということを強調し、より一 層民族の伝統継承に力を入れてほしいと述べ、当会への感謝の言葉で結ばれました。 昼食後は、モンキーダンスなども始まり、組合員は、大いに笑い、楽しい時を過ごし、その 後、今後の活動に関しての会議を開きました。 ニッパやしの屋根、竹の壁、大きな間取り。チボリの伝統家屋様式による伝統ハウス(この 支援には松尾建設基金を充当させていただきました) 念願の建物はできたものの、人材不足、資金不足の問題は依然あり、希望通りの活動を行 うには、組合員が今以上に団結し、各々の力を発揮する必要があります。次の目標に向け頑 張ってほしいものです。 車いすがもたらしたもの PIHSが札幌に事務局のあるNPO「飛んでけ!車いす」の会に車いすを依頼し、調達してもら えたので、8月訪問時、子ども用車いすを一台運びました。このNPOは、日本で使われなくなっ た車いすを寄付してもらい、整備後、アジア・アフリカの必要な人たちに使ってもらう為、旅行者 に運んでもらうという活動をしています。 成田空港の宅配カウンターで車いすを受け取り、心配していたマニラ空港の税関では、何も 尋ねられることなく、無事フィリピンに持ち込むことができました。 PIHSの責任者ナプサさんと車いすを使用する子の家を訪ねました。薄暗い家の中にバイバ イちゃんという愛称のやせ細った4歳の女の子が床に横になっていました。生後6ヶ月の時に、 高熱を出し、脳膜炎を患い、その後も体調が思わしくないものの、貧困故に医者に見てもらう こともできないとの事。夫を亡くした母親が生活の糧を得ねばならず、バイバイちゃんをかまっ てあげる時間がないのと、どう接してよいかわからないという理由で、いつも寝かされていると いうことでした。 しかし、一週間後、母親は毎朝車いすにバイバイちゃんを乗せて散歩するようになったという 報告をもらいました。ナプサさんは、車いすが母親の意識を変えたと言っていました。 同じ村に車いすが必要な4歳の男の子もいました。この子は盲目というハンディも負っていま した。母親はその子を常に抱いているので腰痛になったとの事。また別の村を訪ね、9歳の女 の子にも会いました。この子は訓練次第で自分で車いすを動かせるのではと思われました。 今後は現地訪問の際、毎回車いすを運ぶことになりそうです。 「飛んでけ!車いす」の会の活動に関心のある方は、下記のホームページをご覧ください。 http://business4.plala.or.jp/tondeke/
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