ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)

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現地報告    ビラーン通信66号(2011.7.25)より抜粋

ここに一本の橋があれば・・・

 私たちが関わる山の村はほとんどが、道路事情が悪い辺境にあります。中でもキアミは、ジェネラルサントス市から直線距離25km程度にも関わらず、橋のない一本の川(蛇行するBig Lun川)を何回も渡らなければならないので、天候が急変して増水したりすると、途中の民家に泊めてもらって水位が下がるのを待つことになります。

 去る6月1日、キアミのさらに奥、ナブル村にできた小学校開校式がキアミで行われることになり、建設を支援した鎌ヶ谷市の市民グループICECKの皆さんを案内して、現地パートナー団体CMIP関係者、迎えの村人総勢40名、食材や大なべと一緒にトラック2台で、前々日の朝9時にジェネラルサントス市を出発しました。下流部にはいくつか橋もできたようで、前回訪問の10年前に比べて、橋のない川を渡る回数は20回ほどに減りましたが、昼前から降り出した雨により、川の水位は急上昇し、あと1本渡れば目的のキアミというところで渡河を断念、手前の村キナムで一夜を明かすことになりました。乱伐で保水力を失った山間部の河川が短時間に濁流に変貌する姿を目の当たりにしました。

 一夜明けた6月1日早朝、腰あたりまで水位が下がった川を渡った私たちを、一足早くキアミについていたナブル小の子どもたちが歓迎の歌で迎えてくれました。



 開校式と交流会を終えて、翌2日の朝、ナブルの子どもたちは付き添いの父母、ゴンサロ先生と再び4時間かけてナブル村に戻って行きました(写真)。

 一方、往路でチャーターしたトラックが故障と知らされた私たちは、村人に借りた農耕馬5頭の助けを借りて、CMIP関係者20名余りとともに、徒歩で20回余り濁流を渡り(写真)、夕方5時頃ジェネラルサントスのCMIP本部に帰着しました。これが日常である村人と馬に命を預けた格好の復路となりました。

 キアミの手前の村、キアミが属するバランガイ・キナムの中心集落キナムには、村役場のほか、公立の小学校とハイスクール、週1回助産師が詰めるヘルスセンター等があります。キアミとキナムを隔てる一本の川に橋ができれば、子どもたちも雨期に学校を休む必要はなくなります。キアミで始まったキュウリ、オクラ、ピーナッツなどの換金作物栽培の市場も広がります。

 キアミの住民も、長年地元政府に橋建設を要望してきましたが、予算規模の小さいバランガイ政府が答えられるはずもなく、今も危険を冒しての渡河が続いています。    (7/25山崎)


夢が実現することになりました!

 66号の報告をご覧いただいた賛助会員のお一人から、つり橋建設費ご協力のお申し出をいただきました。

 両岸のコンクリート支柱の間55mを鋼鉄製のワイヤーで繋ぎます。現地CMIP代表エドイン神父によれば、キナム・バランガイ村長も、維持管理は村で責任を持つと約束してくれたそうです。(写真は下流ダアン・スヤンに数年前に作られた同じ構造のつり橋)




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