ビラーンの医療と自立を支える会(HANDS)

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現地報告    ビラーン通信68号(2012.01.25)より抜粋


  1:事業終了3か月のタラヒク村を訪ねて

  2:ティナラクの光沢はどこから?   


1:事業終了3か月のタラヒク村を訪ねて

 12月1日、8月末に緑の募金交付金事業が完了したタラヒク村を訪問しました。2012年度も残る35世帯を対象に事業を実施の予定です。持続可能なアグロフォレストリーに重要な土作り、ミミズ繁殖の現況などを見てきました。

 5u程のミミズ繁殖床を管理するイブラヒムさん(写真)の家を訪ねると、大きな土嚢が7袋ほど積まれていました。事業で購入した5000匹のミミズが作った土です。
 どんどんよい土を増やして、よいゴムの木を育てたいと土作りに意欲的でした。


 200本のゴム苗木を使った芽出し現場も訪ねました。挿し木により、地域で苗木を供給できればさらに受益者を増やせます。移植後1年を経たゴム苗木も2m余りに伸びていました。数年後のラテックス採集作業のために、余分な枝は随時切る必要があります。私たちを案内しながら、タラヒク村ラマダルのシチオリーダーは、PFPサムソンさんの指導で枝木を切り落として行きました。



2:ティナラクの光沢はどこから?
                                                  相田陽子
 
 「これは何ですか?」 イベント会場で、ティナラク製品を前にして、こう質問され、何について聞いているのかわからなかったことがある。織物と一目でわかってもらえないのに、驚いた。また、光沢のある織物に、「ビニールコーティングしているのですか」と質問されたこともある。


   貝に挿した竹と台にする板


   梁につけた竹の穴に挿した竹
 2001年に出版された「ドリームウィーバーズ」というティナラクに関する本には、「織りあがって終りではない。ティナラクは光沢が必要なのだ。そのために、布を叩く。それから蜜蝋を塗り、貝でこする。できれば大きなタカラガイが望ましい。割った竹の先に貝を付け、反対側は天井に当て、竹の弾力を利用して、全身で押して、こする。」と、光沢に関して記述されている。
 12年前初めてレイクセブ町を訪れ、この貝でこするのを見たのが、とても印象に残っている。竹のしなりを利用しているのに感心した。イベント会場で、織を実演するのは無理だか、この貝で光沢を出すのを実演できれば、人を引き付けられるのではないかと、そのための情報を得るのが、昨年11月のOWHED訪問の私の主な目的の一つだった。
 COWHEDの伝統の家には、こする時に使う板がないので、織と貝を持って、歩いて3分ほどの近くの家に行った。ティボリの家は竹の床なので、床にティナラクを置いて貝でこすっても、効果はないと思っていたが、やはり専用の板を使うのだ。この板を見た時懐かしさを感じた。母が和裁をする時使っていたへら台と、長さは違うがほとんど同じだったからだ。
 貝に挿した反対側の竹の先端を適当に梁に当てればよいと思っていたら、そうではなかった。梁に太い竹が横につけてあり、その竹の一部がきれいに楕円形にくりぬいてあり、貝に挿した反対側の先端を入れるようになっていた。それに、梁につけた竹と、その中に挿した先端が外れないよう、紐で結ぶようにもなっていた。
 「ドリームウィーバーズ」の記述にあるように、そして以前聞いた話でも、蜜蝋を塗ってこすると教えられたが、実演してくれたアーニングは上手なので、何もつけないそうだ。私もやらせてもらった。かなりの力がいるが、竹のしなりで、スムーズに動く。これを何時間もやるという。

 ティナラクに光沢をもたらすため、無心で手を動かす。アーニングは結婚して、妻が織ったティナラクの仕上げをするようになった。母も織り手で父が仕上げをしていたので、やり方は知っていた。一般的に妻の織の仕上げは夫がするようだが、COWHEDに持ち込まれた織の仕上げが十分でないと、アーニングに光沢を出してくれるよう頼むという。
 情報を得た結果、イベント会場で実演するのは困難という結論を出さざるを得ないのは残念であった。
‘Dreamweavers‘ The Bookmark, Inc.出版 訳:筆者

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